3月の鎌倉に恋人と行くなら
デートは、シティボーイを目指す者にとっての公式戦だ。
どんなに洒落た恰好をしていても、知識があって、趣味が一流であっても
「デートがつまらない」のは致命的。
だけど、誰でも楽しめる定番コースは面白くない。服でも音楽でもなんでも、僕だけのこだわりを作れるのがシティボーイの誇りであり、探すのが醍醐味なんだ。
例えば、映画で気になった景色をみにいく。
例えば、古民家カフェを必ず訪れてみる。
例えば、恋人の好きなナポリタンを食べに行く。
その時々でこだわりがあればいい。もちろんエスコートも紳士の務めだ。
きっと、もてなす側でありながら一緒に楽しめるのが一番いい。
さて、3月の鎌倉に行くならどうしよう。
江ノ電に乗って江の島?長谷の大仏?それとも小町通りで食べ歩きか。
人気の観光地だからこそ、あっと驚くような、知る人ぞ知る場所へ行こう。
始まりは北鎌倉駅。デートに陶芸体験なんてのもいいかもしれない。
鎌倉はカフェの宝庫だ。僕は僕の感性を信じて、吸い寄せられるように古民家へ入っていく。
さあ、いよいよ鎌倉に到着。僕のなかで、鎌倉といえば「海街diary」。
冒頭、広瀬すずが自転車で坂を下っていくカット、彼女と綾瀬はるかが二人でハイキングした舞台を巡るのが通ってやつだ、フィルム風の世界を追体験できる機会なんてそうそうない。
逗子の高級街を抜けて、鎌倉と海を一望できる展望台へ。こんな楽しみ方もあるんだとわくわくする。
ひとり旅とは全く違うデート。恋人の喜ぶ顔が見たくて、僕は今週も旅のしおりを創る。
8月のひとり旅に行くなら
レベッカの「London Boy」という曲がある。
僕の目指すシティボーイの方向性としてはこれが正しい。紳士的でトラディショナルな装いを弁えつつ、小粋なジョークでおどけてみせる。フォーマルを崩した無邪気さ。それこそ僕の目指すシティボーイだ。バーバリーのトレンチコートに靴下で色を添える。そんな感じだ。
さて、8月に日本地図を開いたらどこへ向かおう。
夏は離島に行きたくなる。島から見る海は美しい。
夏空に浮かぶ入道雲が僕を遠くへ導くように、海に散りばめられた島々は記憶に訴えかけるなにかがある。
愛媛にいこう。電車に乗って、とにかく夏は旅がしたくなる。
今治からサイクリングで風の音を聞きに瀬戸内海へ。ペースを気にせずペダルをガンガン漕げるのもひとり旅ならでは。夕飯にふらっと立ち寄る、駅前の定食屋は夢の扉。
つくし食堂 (つくししょくどう) - 今治/定食・食堂 [食べログ]
梅しそとんかつ定食の味は一生忘れない。
次の日は松山城から街を一望してみる。路面電車に惹かれて松山にくる頃には鯛めしが食べたくてしょうがない。
たくさん歩いて汗だくになって。どこかにいい避暑地はないか。「言の葉の庭」にでてきそうなベンチで休もう
ボードゲームは一通り知ってる、けど決して自慢しないさりげなさもシティボーイには必要だ。北海道の公園にはピアノが置いてある、なんて粋なんだろう。
旅の始まりと終わりは電車がいい。リュックに背負ってきた悩みも全部海に投げて、薄めてろ過して持ち帰る。旅は逃避行じゃない、僕はいつだってそう思ってる。
銀座でリュックを買うなら
ファッションは難しい。どう思われたいかという気持ちと、どんな服が好きかという気持ちが一致してればいい。
ごまんとあるブランドからシティボーイはなにを選ぼう。僕だけの特別感とちょっとイイものを演出する、愛着が湧くのは自然な出会いからだ。
僕はイギリスが好きだ。伝統が街の通りに溶け込んでいて、紳士的で遊び心がある。
歴史に敬意を払い、いま自分が着たいものを着れる。
日本のブランドでも同じだ。伝統を理解できずとも身に着けることが背伸びならきっと意味がある。
さて、銀座でリュックを買うならどこへ行こう。
リュックは僕のイメージするシティボーイに欠かせないアイテムだ。
しっかり背負えば上品さを崩す愛嬌をもち、片っぽを素っ気なく肩にかければ余裕が生まれる。
見た目は大事にしたいが長くつかうなら機能性も軽くはみれない。
買う場所もポイントだ。銀座にきてだれもが知る一流ブランドで買うのは20代のシティボーイには背伸びのし過ぎだ。
SUNSPELなどがある東急プラザの裏に、そんな通に憧れる僕だけの場所がある。
銀座ファイブだ。
シックスは有名だがファイブでものを買う人は少ないだろう。そんな、田舎のスーパーと何ら変わらない内装のなかに僕だけの場所がある。Porter Classic。
ポーターのカバンといえば機能性、デザインともに有名だ。そのポーターに世代を経てつかえるようにという願いを込めたブランドがポータークラシック。好きになるしかない。
背負えばわかる。僕の一生の友。
7月のひとり旅に行くなら
誰しもバイブル書ってあると思う。
僕は生き方の幹は家族が、そして枝葉の部分は本がおっきな役割を果たしてる。
シティボーイに憧れて買った本といえば「20代のボクらが欲しいもの」
背伸びして買ったちょっとイイものを長く使う。ユニクロでばっか買ってる靴下をYAECAにしてみる。好きなブランドをワンポイントで足してみる。
そういうさりげない主張を個性として、日々に非日常を織り交ぜてみるのがいい。
さて、ひとり旅にいくならどこへいこう。
というか旅の目的ってなんだ。美味い飯、映え、絶景、どれも最高の自己満足だ。
だれも僕のことを知らない世界って人生やり直している感じがする。普段隠れてる僕がひょっこりでてきて、自由を謳歌する。試しに海がみえるホテルに泊まって露天風呂にいってみるといい。きっと歌いだしたくなる。
最初は国内から始めよう。派手な観光スポットなんていらない。どっかの歌じゃないけど、パン、ナイフ、ランプだけ持っていくくらいの気持ちで。
日本地図を開いたら夏なら北へいきたくなる。青森の五能線。そこだ、求める何かがきっとある。
東京に置いてきためんどくさいこと全部、忘れる瞬間。あーちっぽけなことで悩んでたなって思える瞬間。
電車に乗っていくらかしたら海がみえてくる。
この頃にはもう昨日までの悩み事はどうでもよくなってて、幼児みたいに膝をシートに立てて外をみてる。
地元の高校生がひとり降りる駅で宿を探して、駅近の漁師が営むお店で食べるマグロ丼は世界一旨い。
旅の目的は旅先にはない。
日々の喧騒はどうでもよくて、当たり前の日常がちょっと楽しくみえる、そんな客観的な見方に気づかせてくれるのがひとり旅の醍醐味だ。旅の恥はかき捨て。
新宿でディナーをするなら
本題に入る前に、そもそもシティボーイっていうけど何を理想としてるんだ。
僕の思うシティボーイは、POPEYEの求める人物像とは少し違うのかもしれない。
スケボーとかラップとかはあんまし興味がない。
都会育ち(風)の上品さと、世間に流されないこだわりと、音楽でも美術でも漫画でも、新しい価値観を懐にすっと入れられる余裕さを兼ね備えた文化人こそがシティボーイなんだと思う。
おすすめのカフェはって聞かれたらすっと言えて、好きなブランドはバックグラウンドまで知ってて、けどそういうのを自慢しない。謙虚さ、さらっとピアノが弾けるとか。
ギザなやつって思われたい、背伸びしてんなあと言われたらそれまで。
またこの話はべつの機会にでも。
さて、新宿でご飯を食べようとなったらどこへいこう。歌舞伎町の居酒屋って響きがよろしくない。さらっと入れて隠れ家みたいなお店はないだろうか。
これだ。こういうの求めてるんだ。
アルタ裏から地下へ続く階段、赤い絨毯に導かれて異世界に迷い込む。
この非日常さがたまらない。
カクテルの種類も豊富で、季節の果実を使った限定メニューもある。
イチオシは春巻と霜降りビーフ。この組み合わせに勝てる瞬間なんてなかなかない。
レトロで隠れ家、僕だけが知ってる特別感。僕はこういうのに弱い。