8月の北海道に恋人と行くなら
“クラシック”という言葉には、魔法がかかっている。
古くありながらその伝統はいまに続いていて、海のなか、水平線へ向かう線路のように
僕らの想像力と好奇心を掻き立てる。
夏の終わりに感じる郷愁を、少しでも余韻に浸っていたくて、とりあえず電車に飛び乗るのも悪くない。
さて、雪のない北海道をどう楽しもう。
まずは空港から一直線に北竜町のひまわり畑に向かうのはどうだろう。
都会のマンションの一室からみていた映像を、五感すべてで嗜める贅沢は、旅人にしか味わえないものだ。
札幌市内に戻り、海の幸をいただく。
海味 はちきょう 本店 - すすきの(市営)/郷土料理(その他) [食べログ]
朝はカフェでモーニングを楽しむのもいいかもしれない。
アトリエ・モリヒコ (ATELIER Morihiko) - 中央区役所前/カフェ [食べログ]
午前はふらっと、夏休みの子どもたちに混ざって、あひるレースを見学してみたい。
午後は小樽にいこうか、食べ歩きのお供はメロンかな。
運河沿いに散策をしていたら、硝子吹き体験がしたくなる。
手作りのお土産はいつまでもこの旅を思い起こさせてくれるだろう。
せっかくなら小樽運河は船で楽しみたい。
波にゆられる新鮮な感覚と、遠くにみえる山々が旅情をそそってくれる。
雨で夜景が見れなくても、行きたかったカフェが臨時休業でも焦らない。
旅にアクシデントはつきものだ。
ときに相談しながら、けどときには思い切った決断で、想定外を楽しめるのが
シティボーイなんだろう。
7月の瀬戸内に恋人と行くなら
冬になると夏が恋しくなる。
外気から皮膚を隠して早足で駅に向かう朝は、ついつい夏を迎える南半球が羨ましい。
せめて気分だけでも半袖を着れないだろうか。
とっておきの一着も大事だけど、気兼ねなく履けるハーフパンツは旅にうってつけだ。
さて、瀬戸内のドライブはどう攻略していこう。
新幹線で尾道まできたら、まずは裏山を散策する気分で、猫に導かれるようにして、
かき氷を食べにいく。
夜は尾道ラーメンを堪能するのも忘れずに。
大樹の周りを走るのは子供っぽいか。
けれど、茶目っ気のあるシティボーイだっていいじゃないか。
亀老山展望台から自然に包まれた瀬戸内海を臨む。お昼には伯方の塩ラーメンがいい。
海の見えるカフェでジェラートを頬張ったら、大正義の夏の味がする。
僕らの夏旅はまだまだ終わらない。
宿題はひとまず置いといて、ひまわりを探しに荷造りを始めないと。
6月の下田に恋人と行くなら
今年も“微熱”を帯びた夏がきた。
都会の空気にすらっと馴染んで、けど型にはまらない。生真面目にみえて夢見がち。
「微熱少年」は僕のなかで幹になる。
国内の音楽だけじゃない、ときには海外の価値観も取り入れて、僕は僕だけのシティボーイを目指す。
さて、下田に行くならどこを目指そう。
6月といえば紫陽花だ、まずはペリーロードを歩いて公園にいこう。
細い道と段差を抜ければ、海と紫陽花を見下ろせる丘に着く。
夏を先取りするならクリームソーダがいい。
風待工房 (カザマチコウボウ) - 伊豆急下田/カフェ [食べログ]
都会の喧騒を離れたと実感するのは、レンタサイクルで海にきたときだろう。
一足さきに海水浴を楽しむ外国の観光客。潮の匂いがたまらなく非日常に連れて行ってくれる。
少し戻れば温泉街の伊豆。
夕飯はもちろん海鮮で、寝る前に花火を楽しむのがきっと夏旅の前座だ。
ちょっといい線香花火で落ちる時間を比べて、家でやるときは浴衣がいいななんて言いながら。
夏の予習をした僕らは、遠足前日の子どもみたいな気持ちで帰路につく。
まだなにも始まっていない。
蚊取り線香の匂いを纏った季節がすぐそこで待ってるんだ。
5月の群馬に恋人と行くなら
夏が近づくと、無性にわくわくする。
今年もスチャダラパーを聴きながら、川で水鉄砲もいい、ひまわり畑をみながらソフトクリームも悪くないなと考える。
浴衣を着て花火にいくのも風物詩だけど、きっと地元の親友と駅前の公園で、しっぽり蝉をBGMに話すのも粋だ。
ドライブのプレイリスト作りから僕の夏は始まっている。
さて、群馬でデートをするならどこへいこう。
温泉街は冬じゃなくても魅力を発見できる。前回僕が紹介した映画の舞台にでも連れて行こうか、水が綺麗な土地ではそばが美味しいと決まっている。
昭和の面影が残る路地を歩いて、15年前に時を止めた廃校をのぞいてみる。
校庭の、長い間だれも乗っていないブランコを漕いで、そんな昼下がりも悪くない。
さっきデザートを食べ忘れてしまったら、足湯につかりながらソフトクリームを食べるのはどうだろう。
香茶房おきなや - 中之条町その他/カフェ・喫茶(その他) [食べログ]
帰りがけに見つけた、コバルトブルーの川を一緒に眺めるのもいい。
都会と対比するわけじゃないけど、旅にきたんだなと実感がわく。
すこし山を登ったさきで出会える夕景は群馬のとっておきじゃないだろうか。
海外なんていく時間がなくても、日帰りでも綺麗な思い出はつくれる。
むしろ身近な風景に特別を感じれる感性こそ僕は大事にしたい。
休日に家で映画をみるなら
好きなMVは誰にでもある。音楽だけでなく映像も一緒くたになって覚えているのは不思議な感覚だ。
いつか好きなFUJIFILMのカメラで、僕の演奏するピアノで、綺麗なムービーが撮れたらいいなあなんて考える。
夕暮れ時、湾を挟んだ対岸の灯りを見ながら、そんな考え事がしたい。
さて、休日に家で映画をみるとしたら何をみよう。
スクリーン張って、音源は背中においてもいいかもしれない。飲み物にもこだわりがあるといい。僕はポップコーンに炭酸の組み合わせが好きだから、きっと家でもそうするだろう。
正直、みたい映画は無数にある。
感動したり、笑ったり、感情を揺さぶる映画もいくつもあった。
そのなかで僕は、みて実際に僕の日々の行動に、そしてシティボーイの目指す姿に影響を与えた映画をきちっと書き留めておく。
・タイタニック (1997年)
英国紳士とは、をすべて詰め込んだような作品。
レオナルド・ディカプリオの作品といえば、インセプション、ウルフ・オブ・ウォールストリートなど数えきれないほどあるが、随一で僕はこの作品が好きだ。
船が沈み始めてから物語は始まるといっても過言ではない。
最後まで生にしがみつく姿を人間らしいというか、
死を前にしてもなお自らの振る舞い、信条を曲げない心こそ人間だというか。
極上のタイミングで流れるセリーヌ・ディオンの主題歌が心を洗ってくれる。
・ガタカ (1997年)
DNAによって運命の決まる近未来の話。
努力は報われるとかそんな綺麗ごとで終わる話ではない。
ジェロームとの熱い友情だけでもない。
頑張っているはずなのにうまくいかないとき、スマートに生きたいのに壁があるとき、きっと力になる、そんな映画。
・千と千尋の神隠し (2001年)
僕の原点。映像、音楽、セリフ、どれをとっても僕の身体にしみこんでいる。
ずっとこんな世界を探してしまう。スタートにしてゴール。
僕は6歳でこの映画に出会えて幸せだ。
4月に洋服を買うなら
ギャップがあるひとは魅力的にみえる。
柔道部のあいつがギターの弾き語りをしていたり、
教室の隅で読書をする彼女が背泳ぎの全国選手だったり。
意外性の発見は、なにか僕らにも夢を与えてくれる。
僕の目指すシティボーイは、スマートであることが宿命づけられている。
知識が豊富で機知に富む。芯の熱い部分は決して語らない。けれど、そんなスマートさにもギャップがあると、ぐっと親近感を感じる。実は同じ映画が好き、こんなラーメンが好き。
ただただカッコいい紳士は疲れるだろう。
ふっと力を抜いても、オフの部分も認めてくれるひとに僕は出会いたい。
さて、4月に洋服を買うとしたらどこへいこう。
夏服は何を着よう、海へドライブ、山へハイキング。夏を全身で感じるときにぴったりの洋服はどこで買えばいいんだろうか。
英国×クラシックが好きな僕には、ずっと前から気になっていたお店がある。
SUNSPELの肌着は有名かもしれない。それならばポロシャツはどうだろう。
「007」にも起用されたポロシャツ、繊維へのこだわり、シンプルなデザイン。
主張しないさりげなさを凝縮したような洋服だ。
襟付きの服はどこか上品さを感じる。
ボーダー柄のポロシャツ、ラガーシャツなんかも試してみたい。
上品さのなかに遊び心を忘れない。ファッションでもなんでも楽しんだもん勝ちだ。
3月の埼玉に恋人と行くなら
春のドライブで流す音楽は、どんなのがいいだろう。
恋人とデートならこだわりに固執してはいけない。スピッツの「春の歌」やユーミンの「春よ来い」は好みこそあれきっと味がある。
桜は主役ではない。たしかに僕らは桜を眺めて春を感じ、平安時代から桜を題材にした詩は数多くある。
世の中に たえて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし
けれど、桜は旅と一緒で、そこに目的はない。だからきっと、桜をモチーフにする唄はどこか切なく、ノスタルジックな気分になるのだろう。
さて、埼玉でデートとは、腕の見せ所だ。シティボーイの本質は形だけを気取ることじゃない。中身あってこそ、そしてこだわりを持って少し力を抜いたデートをしよう。
県の中心部から少し離れた幸手市の、桜と菜の花の絨毯を見に行く。
露店で買うみたらし団子の味を忘れない。行く先でふらりと立ち寄るお店がきっと正しい。
祖母に手を引かれた記憶をたどる。遊園地をいつまでも楽しめる純粋な心をずっと持っていたい。それをもし恋人と共有できたら、きっと素敵な思い出になる。
過去を振り返るのは決して悪いことじゃない。進むために止まる。それが分かっていればいいんだ。
随分と狭い遊園地だったんだなと、少し寂しくなる。大人になった僕たちは、帰り道で思いっきりこってりしたラーメンを食べて、次は海が見たいなあなんて笑って。