3月の埼玉に恋人と行くなら
春のドライブで流す音楽は、どんなのがいいだろう。
恋人とデートならこだわりに固執してはいけない。スピッツの「春の歌」やユーミンの「春よ来い」は好みこそあれきっと味がある。
桜は主役ではない。たしかに僕らは桜を眺めて春を感じ、平安時代から桜を題材にした詩は数多くある。
世の中に たえて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし
けれど、桜は旅と一緒で、そこに目的はない。だからきっと、桜をモチーフにする唄はどこか切なく、ノスタルジックな気分になるのだろう。
さて、埼玉でデートとは、腕の見せ所だ。シティボーイの本質は形だけを気取ることじゃない。中身あってこそ、そしてこだわりを持って少し力を抜いたデートをしよう。
県の中心部から少し離れた幸手市の、桜と菜の花の絨毯を見に行く。
露店で買うみたらし団子の味を忘れない。行く先でふらりと立ち寄るお店がきっと正しい。
祖母に手を引かれた記憶をたどる。遊園地をいつまでも楽しめる純粋な心をずっと持っていたい。それをもし恋人と共有できたら、きっと素敵な思い出になる。
過去を振り返るのは決して悪いことじゃない。進むために止まる。それが分かっていればいいんだ。
随分と狭い遊園地だったんだなと、少し寂しくなる。大人になった僕たちは、帰り道で思いっきりこってりしたラーメンを食べて、次は海が見たいなあなんて笑って。